オラクル、74億ドルでサンの買収に合意、ハードウェア市場へ進出
米国Oracleは4月20日、米国Sun Microsystemsとの買収交渉に合意したことを発表した。買収総額は74億ドルで、エンタープライズ・ソフトウェア・ベンダーのOracleがハードウェア市場に進出することになる。
Oracleの発表によれば、OracleはSunの株式1株あたり9ドル50セントを支払うとしており、負債などを差し引いた実質的なSunの買収額は56億ドルとなる。Oracleはここ数年、Siebel、PeopleSoft、BEA Systemsなどを買収してきたが、それに引き続いての大型買収となる。
およそ2週間前には、IBMとSunの買収交渉が決裂したと報じられている。過去においてはOracleによるSun買収のうわさもあったが、Sunの資産であるハードウェア分野やサーバOS分野の事業をOracleは手がけておらず、このうわさの信憑性は疑問視されていた。しかしながら、Oracleのデータベース事業において、SunのUNIX OS「Solaris」は長期にわたり成功を収めているプラットフォームだ。
Oracleの発表によれば、Sunの買収により初年度に得られる収益は、BEA SystemsとPeopleSoft、Siebelの買収で得た収益の合計を上回る見込みだという。Sunは初年度、非GAAPベースで15億ドルの営業利益を上げ、2年目にはさらに20億ドルの営業利益へと増加する見込みだ、とOracleでは述べている。
OracleのCEO(最高経営責任者)であるラリー・エリソン(Larry Ellison)氏は、同日(4月20日)行われたプレス向けの電話会見において、Oracleの買収戦略はこれまでと同様に「“市場をリードする製品”を保有する会社を買う」ことであり、Sunの買収においてはJavaとSolarisがその主目的であったことを明らかにした。
エリソン氏はJavaについて「我々が買収した中でも最重要のソフトウェア資産である」と語り、2008年1月の米国BEA Systemsの買収と今回のSun買収により強化されるJavaミドルウェア事業は、現在の基幹ビジネスであるデータベース事業と肩を並べるほどに成長するだろうとの見通しを述べた。
また、Solarisについては「市場において最良のUNIXテクノロジー」だと考えており、Oracleデータベースの動作基盤としてSolarisが最も選ばれているのはそれが理由だと語った。OracleデータベースとSolarisの技術的な統合を実現することで、企業顧客に新たな価値を提供するとも述べている。
一方、Sunの会長であるスコット・マクニーリ(Scott McNealy)氏は、SunとOracleは、顧客のために共生的な統合を果たすという共通のビジョンを持っていると述べた。
「Sunは当初から“オープン性”と“イノベーション”を信じてきた。SunとOracleの両社は、R&Dやオープン性、標準技術、コミュニティ、そして完全なソリューションの提供といったことの価値を理解している。(略)本日、そうした取り組みに新たな、そして大きな一歩を刻むことができた」(マクニーリ氏)
エリソン氏は、Oracleではこれまで買収した企業を迅速に既存組織に組み入れており、Sunについても買収手続きが完了次第、そう対処したいと述べている。買収手続きの完了には株主の承認が必要だ。
個人的にはMySQLがどうなってしまうのか非常に気になっている。あとHSQLDBかな。Oracleは高いのとWebアプリで使うのは明らかにオーバースペックなため今まで敬遠していたけど、Javaアプリならファーストチョイスになるのかもしれない。
SolarisとOracleの相性のよさはいまさら言うまでもないし、Solaris+Weblogic+Java+Oracleという組み合わせでパッケージ販売してくれると楽だろうな。ただまあApache-Tomcatプロジェクトは継続してほしい。金を出す以外の選択肢も残してほしいのだ。