一週間のうちに二回もバロテッリに対して「黒いイタリア人などいない!」と野次を飛ばしてUEFAのお偉方を赤くさせたり青くさせたりしているユヴェンティーノの方々ですが、この件に関するジョゼの見解はいささか異なるようです。
モウリーニョ監督、バロテッリへの野次について「あれは差別ではない」
インテル(イタリア)のジョゼ・モウリーニョ監督は現地時間22日(以下現地時間)、18日のイタリア・セリエA第32節のユヴェントス戦で、ガーナにルーツをもつイタリア人FWマリオ・バロテッリが人種差別的な野次を受けた件について、あれは人種差別ではないと語った。ロイター通信が報じている。
1対1と引き分けたユーヴェ戦で、相手方のファンから「黒人のイタリア人は存在しない」と、差別的な野次を浴びせられていたバロテッリ。その野次に対し、イタリアリーグはユヴェントスに1試合の無観客処分を言い渡すなど、事態は大きな波紋を呼ぶ展開となっている。
しかし、インテルのモウリーニョ監督はこの件について異なった見解を示した。同監督は「あれは差別ではない」とコメント。「あれは特定の選手を嫌いだと表現するための、無教養で馬鹿げていて幼稚な手法だ。(野次を飛ばすのは)バロテッリがアフリカ人だからではない。彼が自チームに対してゴールを決め、ドリブルをしかけ、マークし辛い素晴らしい選手だからだ」と続け、今回の野次は単なるやっかみであるとしている。
また、ユーヴェのファンが本当に人種差別主義者であるなら、自チームのマリ人MFモハメド・シッソコに対しても野次を浴びせるはずだとして、「もし彼らが差別主義者なのだとしたら、差別の対象はすべての黒人であるはずだ。単に相手チームに在籍している選手に対してではなくてね」とコメント。ユーヴェファンの愚かな行為をばっさりと切り捨てている。
なお、ユーヴェはこの件について謝罪を行なっているが、無観客処分を下されたことについては、抗議の意を表している。
おいらもジョゼの見解が正しいと思う。単にバロテッリが敵チームのむかつくストライカーで、その彼の持つパーソナリティを揶揄してるに過ぎない。もちろんそれは無教養で馬鹿げていて幼稚なのだが。
仮にさ、バロテッリがユーヴェにいたら彼らは大歓迎すると思うよ。きっと。その程度の問題に過ぎなくて「人種差別が云々」なんてご大層な話じゃない。
あと、黒人差別というものへの捉え方がフランス人のプラティニとポルトガル人のジョゼでは歴史的経緯からスタンスが異なると考える。ヨーロッパで一番早く黒人のフットボーラーが活躍を始めたのはポルトガルなのだ。もちろん、それにも裏があるんだけどね。
>その彼の持つパーソナリティを揶揄してるに過ぎない。
>もちろんそれは無教養で馬鹿げていて幼稚なのだが。
んーむ。まあ大筋では同意です、「人種差別」とくくるには先に挙げられてるように反証が多いですしな。
ただ、彼が南部出身のアフリカ系移民なのでなく、単なる混血で北部生まれな黒人系イタリアーノであっても同様に「お前は黒いからイタリア人じゃない」的な言葉を掛けられるもんかなあ、とは思ったり。「出自差別」とは言えば言えるのかもしれんですし。
まして将来的にはアズーリの座も決して夢ではないわけで、今回バロテッリにわいのわいの絡んでるユヴェンティーノはもし将来バロテッリが「インテルのむかつく黒いヤツ=アズーリの頼れる黒いヤツ」になった時にどう整合性を取るんだろう、というのは皮肉もありますが割と素の疑問。
>人種差別だけ特別にするのは良くないんじゃないかとか、
>有色人種に対する逆差別じゃないかとか思ったり
前記事コメになりますが、やっぱり『敵チームへではなくたった一人の選手へ』『野次が10分間続き、やめるように告知しても続く』のは、カルチョの場にあっては異常であり(人種差別かどうかに関わらず)問題視されてもしゃあないかなと。
例えばアウェーでプレーしてるジダンに対して観客席から100人のサポーターが「♪お前のおふくろはあばずれ女〜」と10分以上合唱して止めてもひたすら続けるようなことがありゃ、それはやべぇんじゃね?と思いますしの。
さておき、あの若さでFKまで任されるとは実に末恐ろしい逸材。
上で書いたのは結構本気とゆーか、ぜひアズーリで活躍する彼の雄姿も見たいもので。まあラフプレーはバレない程度にナ、とw
まあ、トリノの最下層民の民度の低さとプラティニのフランス的博愛主義的な対応とジョゼのポルトガル的シニカルな対応の比較がおもろいかなと。
>単なる混血で北部生まれな黒人系イタリアーノであっても
それもほとんどいないんだよねイタリアには。移民といっても旧ユーゴ圏からの移民がほとんどでアフリカ系はあんまりいない。んで、「黒いイタリア人」云々はそういう戸惑いの想いなんだと思う。日本だって「代表に帰化選手が多くなることは云々」っていってた奴らがいたし。
# アレックス帰化のときね。ラモスやロペスは快く受け入れたくせに。
バロテッリはまだ若いんで今後の成長を見守りたいのですが、現段階では「アズーリの頼れる黒い奴」になる可能性はきわめて高いです。つーか今までイタリアにはいなかったタイプだしね。そういったときに盛大に掌返しするだろうし、そん時にはお前らバロテッリに土下座して謝れよと思う。
ただ、なんと言うかイタリアって人種、少なくとも色についてはこれまで均一を結構保っていた社会でそこに対する意識をフランスあたりと比べられても困ると思うんだ。フランスが時間をかけて社会の偏見を取り除いてきたのと同じだけの時間がかかると思うし、人権意識の成果だけ求められても無茶でしょ。
FKはスタンコビッチに蹴らせてやりたいw
ただ、試合に出てもいないバロテッリへの野次が10分間続くというのは異常。これはおいらも認めるところです。ただ、ジョゼが言っているのは「それって人種差別意識が言わせてることなの?」っていう身も蓋もない疑問で、例えば彼のやんちゃなプレースタイルから「バロテッリは野蛮人〜♪」と言われてしまうのはある程度仕方が無い。白人選手が同じようなプレースタイルで野蛮人呼ばわりされるのはOKで黒人選手がダメというのがおいらのちょいと気に入らないところ。そしてもちろんジダンはキレやすかったし若い頃は間違いなくアレな選手だった。そして彼は成長して自分を律することを覚え素晴らしい選手になった。そりゃま最後の最後はアレでしたがw
まあ、イタリアは首相がオバマに「よく焼けてるな」って言っちゃう国だからなw ベルルスコーニも自重しろよ。全くあのおっさんが首相として許容されちゃう国なんだからトリノの最下層民がああでもしょうがないんだよw 時間をかけて、バロテッリもブラック・イタリアンの代表としての自分を意識した行動をして、双方が歩み寄ってそういう差別意識ってなくしていくものだと思う。博愛の意識にあふれた隣国の人間に頭ごなしに言われてなくすようなもんじゃいと思うよ。
>対応の比較がおもろい
ああ、確かに。つーか二人とも言ってることは「お前らガキかヨええ加減にせんかいプギャー」に相違ないっすよねw
そこに至るまでの文脈の違いにお国柄が出てるのも、おっしゃる通り味わい深いトコロ。
>混血で北部生まれな黒人系
なるほど、割と「新しい問題」なわけっすな。<ほとんどいない
となるとイタリア人全体の中で時間かけて解決していくしかないのかもですな。あまり酷いのはプラティニ先生の言う通りガイドライン作ったりで止めとくとして、意識改善みたいなのは外から何のかんの言うより当事者らが修正していくしかないし。
『時間がかかると思うし、人権意識の成果だけ求められても無茶』というのには完全同意。
>そん時にはお前らバロテッリに土下座して謝れよ
うむり。
>白人選手が同じようなプレースタイルで野蛮人呼ばわり
>されるのはOKで黒人選手がダメというのが
難しいのは、“白人の黒人差別”は歴史的背景が重たいというところですな。ある意味もはや政治化してるというか。
その前提で「スポーツに必要以上に政治を持ち込むべきではない」という観点から見ると、やっぱり単に「気に入らない選手の特徴を揶揄している」では済まない(「レジャー」の枠に留まり得ない)要素があるんかなあ、と。「色」を引き合いに出すという一点のみにおいて。
(だからもし「♪バロテッリは野蛮人〜」的な野次群だったらここまで問題にならなかった、かも)
「色」への揶揄は、白人中心コミュニティに関しては特有のモノがある(だからこそいろんな方面から口出しが起きる)トコロなのかもで。日本人の視点(特に現在の戦後日本人から)だとやや見えにくいものもありそうな感じ。
>ベルルスコーニ自重
wwww
これだからイタ公は…(ぉ
バロテッリの昔のインタビュー引っ張り出してきた。去年インテルで鮮烈なデビューをしてガーナ協会が色めき立ったときの。
「僕はパレルモ生まれのパレルモ育ちでイタリア人としかいいようが無い。ガーナ代表どうですかといわれたってガーナもアフリカも行ったことも見たこともない。知るか」ですって。
イタリアというのは今までブラックアフリカとはあんまり縁がなかったけど、豊かな国だしこれからはバロテッリのようなケースも出てくるだろう。まあ、イタリアの皆さんは時間をかけて差別意識を解消していくしかないと思う。ナポレオン1世だって奴隷狩りしてたんだから。
>“白人の黒人差別”は歴史的背景が重たい
といわれたってそれは当事者の問題で、それを克服した側が克服していない側に一方的に「克服しろ!」というのはちょっと違うと思っている。ましてや、バロテッリがいかなる制度的不平等措置を受けたわけじゃない。トリノの休日にはフットボール見に行くしか娯楽のない無教養な方々の苛立ちというのはおいらはよくわかるよ。フランス人のお前に言われたくねえよつー。
ましてや、人種差別という物を本でしか読んだことない日本の人間が、日本にある人種差別のにおいを一生懸命に嗅ぎ回った結果「日本で朝鮮人が嫌われている」ということに目をつけて、歴史も経緯もなんもかんも無視して「これは人種差別なんじゃ〜」って騒ぎ立てることは狂ってると思う。
もちろん「レジャー」の範疇にとどまらないものであると思う。だからこそプラティニなんかは慌ててるわけで。ユーヴェ対インテルなんて世界中で放送されるしな。黒人差別というものを恥ずべきものと捉えている方々の目に触れるのはまずいという意識はあって当然だろう。そういう人権的な意識とトリノの最下層民の持つ違和感にギャップが生じるのは当然なんだと思う。
おいらが生まれた年のワールドカップではザイール代表が主審からあからさまに差別的な取り扱いを受けています。「お前ら黒んぼなんて誰が誰でも一緒だよ」見たいな扱いからまだ35年しか経っていないのです。せめて背番号は見ろよw
近代の人権意識が人類の貴重な前進であることは疑いない。だからこそ、それを獲得するには時間がかかるということもプラティニには理解して欲しい。そしてイタリアは間違いなく今そのギャップの中にいるんだ。これから良くなってくるさ。
>ベルルスコーニ
フットボール人としてのベルルスコーニは大好きなんだけれども、首相としては発言が軽率すぎ。麻生が「選挙に勝つために投票日までセックスを絶つ!」って宣言したらダメだと思うよ。
あと、ベルルスコーニが黒人に差別意識を本気でもっていたら、ごく潰しや出っ歯やデブと契約するわけないだろと。
ですな。割と時間が解決する(というかそれでしか解決しない)問題な気はひしひしとします。
しかもプラティニ先生もモウリーニョ監督も「あいつら確信犯じゃなくてただのガキだな」的なところまで読み取って、批判はしつつ弁護もしてる、と。
ま、そこは日本と違って(周囲が)大人ばかりの環境ですから。イタリアも日本の自称人権派みたいなトンチンカンなことにはなっていかないでしょう。と期待age。
>おいらが生まれた年のワールドカップでは〜
ほむ。なるほど、そういうこともあったですか<ザイール代表受難
確かに、肌の色で人間をランク分けする西欧の悪癖が改善の方向へ舵を取るようになってから、まだ40年そこいら……頭ごなしに性急に改善を求めても反発を生むだけだし、やはり(最初に戻るけれど)時間をかけていくしかないトコロですかなー。
>ベルルスコーニ
まあ、彼が首相やっていける国という意味でイタリアはお気楽な国だなぁと常々思います(爆) いや、私もベルルスコーニ(の放言)は基本的に好きでw
よくも悪くもイタリアーノですよな、陽気でエロくて際どいジョークが好きで自信家でカルチョ大好き。多くのイタリア人男性はきっと彼を他人に思えないに違いない(←偏見)
あ、差別意識についてはまったくもっておっしゃる通りで。
とはいえ黒人差別というのは白人の中でものすごくナイーブな問題なんで、感情に流されないでドライに受け入れるのもまた難しいかと。
これは理解しているほうが少し妥協したほうがいいのではないかと思うんですがね。マキシマリスト的要求は害にしかならないと思います。
西ドイツワールドカップのザイール代表の件についてはグループリーグユーゴスラビア戦のユーゴの監督のこの言葉が状況を表しているかなと。
「あのペナルティという判定は妥当だったと思う。しかし一つ問題がある。審判が退場にするべきは3番ではなく5番だったことだ」
PKの判定ではなく個々の人間として扱われないことにザイール代表は猛抗議しました。ユーゴスラビア代表も猛抗議しました。赤出された選手は泣きながらピッチを去りました。こういう歴史を知っているプラティニがナイーブになるのも理解できます。
しかし、トリノの最下層民がそういうのを理解しないということもまた理解しなければいけないと思っています。意識のすり合わせっていつの世でも難しいですね。
>首相
まあ、あの人フリーダム過ぎるからなw イタリア人の尺度からしてもフリーダムだと思う。ああいう人が受け入れられちゃうのはまあ文化だね。
彼は基本的におもろい金持ちのおっさんで、ポピュリズム的なところはあるけれども、西側民主主義にとってナチズム以来の最大の脅威って言いすぎだろうと。
"Nothing lasts for ever: more pertinently, there is plenty of evidence that western democracy is now under greater threat than at any time since the defeat of Nazism."
http://www.guardian.co.uk/politics/2003/jul/05/media.italy
あのおっさんはちゃんと選挙はやるし選挙に負けたら悪態つきながらも首相の座は明け渡すでな。