マガジン9条〜この人に聞きたい『中村哲さんに聞いた』〜
「平和国家」日本に期待されていること
編集部 現地では、NGOとか国際機関なんかが襲撃されるということは、かなりあるんですか?
中村 何回も、見聞きしたことはありますよ。でも、我々ペシャワール会が襲われたことは一度もありません
編集部 それだけ、ペシャワール会の活動が現地の方々に浸透しているということでしょうか。
中村 そうですね。アフガンの人たちは、親日感情がとても強いですしね。それに、我々は宗教というものを、大切にしてきましたから。
編集部 宗教とは、やはりイスラム教…。
中村 おおむね、狙われたのはイスラム教というものに無理解な活動、例えば、女性の権利を主張するための女性平等プログラムだとか。現地でそんなことをすると、まず女性が嫌がるんです。キリスト教の宣教でやっているんじゃないか、と思われたりして。
編集部 宗教的対立感情みたいなものですか?
中村 いや、対立感情は、むしろ援助する側が持っているような気がしますね。優越感を持っているわけですよ。ああいうおくれた宗教、おくれた習慣を是正してやろうという、僕から言わせれば思い上がり、もっときつくいえば、“帝国主義的”ですけどね。そういうところの団体が、かなり襲撃されています。民主主義を波及させるというお題目は正しいんでしょうけれど、やっていることは、ソ連がアフガン侵攻時に唱えていたことと五十歩百歩ですよ。
編集部 ペシャワール会は、そういうことからは無縁であったということですね。
中村 そうです。それに僕はやっぱり、日本の憲法、ことに憲法9条というものの存在も大きいと思っています。
編集部 憲法9条、ですか。
中村 ええ、9条です。昨年、アフガニスタンの外務大臣が日本を訪問しましたね。そのとき、彼が平和憲法に触れた発言をしていました。アフガンの人たちみんなが、平和憲法やとりわけ9条について知っているわけではありません。でも、外相は「日本にはそういう憲法がある。だから、アフガニスタンとしては、日本に軍事活動を期待しているわけではない。日本は民生分野で平和的な活動を通じて、我々のために素晴らしい活動をしてくれると信じている」というようなことを語っていたんですね。
編集部 平和国家日本、ですね。
中村 ある意味「美しき誤解」かもしれませんが、そういうふうに、日本の平和的なイメージが非常な好印象を、アフガンの人たちに与えていることは事実です。日本人だけは、別格なんですよ。
編集部 日本人と他国の人たちを区別している?
中村 極端なことを言えば、欧米人に対してはまったく躊躇がない。白人をみれば「やっちゃえ」という感覚はありますよ。でもね、そういう日本人への見方というのも、最近はずいぶん変わってきたんです。
編集部 それは、なぜ、いつごろから、どのように変わってきたんですか?
中村 いちばんのキッカケは湾岸戦争。そして、もっとも身近なのは、もちろんアフガン空爆です。アメリカが要請してもいない段階で、日本は真っ先に空爆を支持し、その行動にすすんで貢献しようとした。その態度を見て、ガッカリしたアフガン人はほんとうに多かったんじゃないでしょうかね。
編集部 せっかくの親日感情が、そのために薄らいでしまったんですね。
中村 それでも、いまでもほかの国に比べたら、日本への感情はとても親しいものです。この感情を大事にしなければならないと思うんです。湾岸戦争のときに、「日本は血も汗も流さずお金だけばら撒いて、しかも国際社会から何の感謝もされなかった。それが、トラウマになっている」なんて、自民党の議員さんたちはよく言うようですけど、なんでそんなことがトラウマになるんですか。「お金の使い方が間違っていた」と言うのならいいのですが、「もっと血と汗を流せ」という方向へ行って、とうとうイラクへは自衛隊まで派遣してしまった。僕は、これはとても大きな転回点だったと思っています。
中村 これまでは、海外に軍事力を派遣しない、ということが日本の最大の国際貢献だったはずなのに、とうとうそれを破ってしまったんです。これは、戦争協力ですよね。そんなお金があるんだったら、福祉だの農業復興だの何だの、ほかに使い道はいくらでもあるというのに。
編集部 ほんとうにそうですね。お金をどのように使うか、国際貢献とか国際援助とかいうのなら、最初に中村さんがおっしゃったように、まず「生存」のために使うべきですよね。
中村 日本は、軍事力を用いない分野での貢献や援助を果たすべきなんです。現地で活動していると、力の虚しさ、というのがほんとうに身に沁みます。銃で押さえ込めば、銃で反撃されます。当たり前のことです。でも、ようやく流れ始めた用水路を、誰が破壊しますか。緑色に復活した農地に、誰が爆弾を撃ち込みたいと思いますか。それを造ったのが日本人だと分かれば、少し失われた親日感情はすぐに戻ってきます。それが、ほんとうの外交じゃないかと、僕は確信しているんですが。
9条は、僕らの活動を支えてくれるリアルで大きな力
編集部 そう言えば、雑誌『SIGHT』(07年1月)のインタビューで、「9条がリアルで大きな力だったという現実。これはもっと知られるべきなんじゃないか」とおっしゃっていましたね。
中村 そうなんですよ。ほんとうにそうなんです。僕は憲法9条なんて、特に意識したことはなかった。でもね、向こうに行って、9条がバックボーンとして僕らの活動を支えていてくれる、これが我々を守ってきてくれたんだな、という実感がありますよ。体で感じた想いですよ。
中村 武器など絶対に使用しないで、平和を具現化する。それが具体的な形として存在しているのが日本という国の平和憲法、9条ですよ。それを、現地の人たちも分かってくれているんです。だから、政府側も反政府側も、タリバンだって我々には手を出さない。むしろ、守ってくれているんです。9条があるから、海外ではこれまで絶対に銃を撃たなかった日本。それが、ほんとうの日本の強味なんですよ。
編集部 その体で実感した9条を手放すことには、どうしても納得できない。
中村 具体的に、リアルに、何よりも物理的に、僕らを守ってくれているものを、なんで手放す必要があるんでしょうか。危険だと言われる地域で活動していると、その9条のありがたさをつくづく感じるんです。日本は、その9条にのっとった行動をしてきた。だから、アフガンでも中東でも、いまでも親近感を持たれている。これを外交の基礎にするべきだと、僕は強く思います。
編集部 お話を伺って、中村さんたちの活動は、それこそ「ノーベル平和賞」に十分に値するものじゃないかと、とても強く感じました。これからも、ほんとうにお体や健康にお気をつけて、素晴らしい活動をお続けください。本日は、長時間、ほんとうにありがとうございました。
中村 はい、こちらこそありがとうございました。第2期用水路建設に向けて、もっと日焼けしてきます(笑)。
武装勢力がひとたび武力の行使を決断したときには民間人は本質的に無力である。日本人だから安全とかそんなことは先方の考えることであって、その配慮を期待して行動するのは厳しくいえば甘えだろう。本質的にその認識が欠けている。
しかし、他方で彼らの活動がアフガニスタンの人々の為になっていることは認めるし、今後もこのような活動を続けていただきたい。だが、本質的に誤解をしているのは彼らの活動の基盤となっているのはアフガニスタンの治安維持機構であり、そのバックボーンとなっている多国籍軍なのだ。単純な話、多国籍軍がいなければどんなに彼らが人助けをしようと思っていてもアフガニスタンには入国できない。中村医師はその認識が哀れなまでに存在しない。9条教に騙されての今回の悲劇だと考える。
注目するべきはアフガニスタンの外務大臣も騙されちゃっていることだ。日本が平和的にアフガニスタンのインフラを整える手助けをするのは間違いないし、それを期待するのもいいのだが、その活動の安全を保障するのはやはり多国籍軍なのだ。外相は本来自国で行うべき業務を外注に出していることを恥じるべきであり、それでも来てくれるペシャワール会に対して心から感謝をするべきなのだ。一緒に宗教に嵌ってどうする。
んで、政府としてはアフガニスタンで様々な業務を行っている人間の安全を保障するために、陸自を一個師団派遣してタリバンを皆殺しにするべきだと思うのだが。その後安全の保証されたアフガニスタンで心行くまでペシャワール会は様々な活動をすればよい。美しき誤解
に安全をゆだねて人を危険地帯に送り込むようなことは今後絶対にあってはならない。
あと余談なんだけれども、中村医師の物言いにある種の選民思想が見て取れて嫌だね。9条を持っているオレらはいい人。お前らは軍隊を派遣する悪い国の人だから死んでもしょうがないぜアハハみたいな。宗教ってそんなものなんだけれども、戦前の「神風が吹くから神州不滅」とかいうのとどこが違うんだと。全く外に出すのが恥ずかしい野蛮人だなこいつは。
posted by ミラクルさん at 12:17|
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